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解説 · 約7分

保護具着用管理責任者とは?選任義務・職務・第三管理区分との関係

監修:大滝良彦(VOC空気清浄機事業部 セールスエンジニア) 公開

局所排気装置の全体図。フード、主ダクト、空気清浄装置、ファン、屋外の排気口の位置関係を示した断面イラスト
保護具は対策の最後の手段です。発生源で吸引する工学的対策で下げられる分は、そちらで下げます。

保護具着用管理責任者とは、呼吸用保護具や保護手袋などの選択・使用指導・保守管理を担う責任者です。2024年4月1日施行の労働安全衛生規則 第12条の6により選任が義務化され、リスクアセスメントの結果または作業環境測定で第三管理区分になったときに、その事由が発生した日から14日以内に選任します。

この記事は化学物質の自律的管理とリスクアセスメント義務化で決まった役割のうち、保護具に責任を持つ人を掘り下げたものです。選任の引き金になる「保護具を使わせる状況」は、発生源対策で空気中の濃度を下げれば避けられることもあります。

目次
  1. 保護具着用管理責任者とは(3つの職務)
  2. 選任が必要になる2つのとき
  3. 誰を選ぶか(選任要件と教育)
  4. 化学物質管理者・作業主任者との違いと兼任
  5. 保護具に頼る前に検討すること
  6. よくある質問

保護具着用管理責任者とは(3つの職務)

保護具着用管理責任者は、事業場で使う保護具が正しく選ばれ、正しく使われ、正しく保守されているかに責任を持つ人です。職務は次の3つです。

  1. 保護具の適正な選択:作業とばく露に合った種類・防護等級の保護具を選びます。呼吸用保護具なら、required minimum protection factor(要求防護係数)を満たす面体を選ぶことが含まれます。
  2. 労働者による適正な使用の管理・指導:正しい着け方を指導し、面体が顔に密着しているかのフィットテストの実施を統括します。使用状況を確認し、不適切な使い方を是正します。
  3. 保護具の保守管理:吸収缶・フィルターの交換記録、保管方法、点検の手順を管理します。使えない状態の保護具が現場に出ないようにします。

根拠:労働安全衛生規則 第12条の6、労働者健康安全機構「職場の化学物質管理総合サイト(ケミサポ)

選任が必要になる2つのとき

保護具着用管理責任者を選任する引き金は2つあります。どちらも「労働者に呼吸用保護具などを使わせることになった」状況です。

  1. リスクアセスメントの結果:リスクアセスメント対象物を扱う作業で、対策を検討した結果、呼吸用保護具や保護手袋を使わせることにしたとき。
  2. 作業環境測定で第三管理区分になったとき:作業環境測定の評価結果が第三管理区分となり、作業環境管理専門家が改善困難と判断した場合、または改善措置を講じても第三管理区分から改善されず、呼吸用保護具を使わせることになったとき。

期限は、選任すべき事由が発生した日から14日以内です。選任したら氏名を作業場の見やすい場所に掲示するなどして、関係者に知らせます。第三管理区分になったときの対応の全体像は第三管理区分になったら(事業者がやるべき改善措置)で解説しています。

誰を選ぶか(選任要件と教育)

選任要件は「保護具に関する知識および経験を有する者」です。国家資格ではありません。作業環境測定士、労働衛生コンサルタント、有機溶剤作業主任者などの資格者や、保護具の選定・管理の実務経験がある人が該当します。

社内に該当者がいない場合は、保護具着用管理責任者教育を受けた人から選任します。この教育は登録教習機関や安全衛生団体が実施しており、保護具の種類と選択、規格、使用方法、保守管理、関係法令を学びます。オンラインで受講できる講座もあります。

「知識および経験を有する者」の範囲は通達で示されています。自社の担当者が該当するか迷う場合は、教育を受けておくのが確実です。

化学物質管理者・作業主任者との違いと兼任

現場では「化学物質管理者」「作業主任者」「保護具着用管理責任者」の役割が並びます。担当する範囲が異なります。

役割担当すること選任のきっかけ
化学物質管理者リスクアセスメントの実施管理、記録、労働災害時の対応など、化学物質管理の全体の統括リスクアセスメント対象物を製造・取扱いする事業場(原則すべて)
有機溶剤作業主任者作業方法の決定と労働者の直接指揮、局所排気装置などの1か月ごとの点検、保護具を使わせる(その場の監視)有機則の対象業務(作業ごとに選任、免許・技能講習が必要)
保護具着用管理責任者保護具の選択、適正な使用の管理・指導、保守管理(保護具のマネジメント)リスクアセスメントの結果または第三管理区分で、呼吸用保護具などを使わせることになったとき

兼任は状況で変わります。第三管理区分ではない場合、化学物質管理者や有機溶剤作業主任者が保護具着用管理責任者を兼任できます。作業環境測定で第三管理区分になったことを理由に選任する場合は、その作業の作業主任者との兼任はできません。作業主任者はその場の監視、保護具着用管理責任者は保護具全体の管理と、役割を分けるためです。

保護具に頼る前に検討すること

保護具着用管理責任者の選任は、「保護具に頼る状態になった」というサインでもあります。対策の順位では、保護具はいちばん下の最後の手段です。上位から検討すると、責任者を置いても管理の手間が軽くなります。

  1. 代替:有害性の低い溶剤、低揮発性・水性の材料に変える。
  2. 発生源の密閉化・自動化:密閉容器、自動塗布、囲い込み。
  3. 工学的対策:局所排気装置、プッシュプル型換気装置。設置できない現場では発散防止抑制装置。
  4. 作業管理:手順の見直し、取扱量・作業時間・従事人数の削減。
  5. 保護具:上位で下げきれない残りを補う。フィットテストと交換管理が必要。

第三管理区分から抜け出すには、発生源での吸引が効きます。工学的対策として局所排気装置が必要になったものの、置くスペースがない、建物が賃貸でダクト工事ができない場合は、工事不要の発散防止抑制装置が選択肢です。当社(ベリクリーンエア)の装置は局所排気装置が設置できない現場の有機溶剤対策で、発散防止抑制措置の特例実施許可(大阪労働局天満署 令和4年度第1号)を取得しています。ある塗装作業場では、現地の労働基準監督署の立会い測定で発生源5cmの捕捉風速0.7m/sを確認し、局所排気装置として認められた事例があります(2024年7月)。当社の装置は有機則対策向けで、特化則の対象物質には対応していません。対策前後の濃度はデモ機貸出で自社の現場で測れます。

よくある質問

保護具着用管理責任者に資格は必要ですか?

国家資格ではありません。「保護具に関する知識および経験を有する者」から選任します。社内に該当者がいない場合は、保護具着用管理責任者教育を受けた人から選任します。教育は登録機関や安全衛生団体が実施しています。

化学物質管理者や作業主任者と兼任できますか?

第三管理区分ではない場合は、化学物質管理者や有機溶剤作業主任者などが兼任できます。作業環境測定で第三管理区分になったことを理由に選任する場合は、その作業の作業主任者との兼任はできません。

いつまでに選任すればよいですか?

選任すべき事由(リスクアセスメントで保護具の使用を決めた、第三管理区分になったなど)が発生した日から14日以内です。選任したら、氏名を作業場の見やすい場所に掲示するなどして関係者に周知します。

小さな事業場でも選任は必要ですか?

事業場の規模による除外はありません。リスクアセスメント対象物を扱い、労働者に保護具を使わせる作業があれば、規模にかかわらず選任が必要です。1人が複数の作業場をまとめて担当することもできます。

保護具着用管理責任者を選任したら、ほかの対策はいらないのですか?

いいえ。保護具は対策の順位でいちばん下、最後の手段です。代替、発生源の密閉化、局所排気装置などの工学的対策で下げられる分はそちらで下げ、それでも残るばく露を保護具で補うのが原則です。責任者の選任は、工学的対策の免除ではありません。

監修:大滝良彦

VOC空気清浄機事業部 セールスエンジニア。有機溶剤・VOC対策の技術担当として、装置の選定から労働基準監督署への対応まで、現場ごとの相談に応じています。

お問い合わせ:y.otaki@belica.co.jp

関連ページ

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  2. 第三管理区分になったら(事業者がやるべき改善措置)
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