製品・サービス / 発散防止抑制装置
解説 · 約7分発散防止抑制装置とは(局所排気に代わる特例措置)
監修:大滝良彦(VOC空気清浄機事業部 セールスエンジニア) 更新

発散防止抑制装置とは、屋外へ排気するダクト設備を持たず、内蔵フィルターで有機溶剤などの有害物質を吸着・処理して濃度を下げる装置です。局所排気装置の設置が難しい現場で、一定の要件を満たし、所轄の労働基準監督署の特例実施許可を得ると、局所排気装置の代わりの措置として使えます。ダクト工事が不要なため「ダクトレス」とも呼ばれます。
当社(ベリクリーンエア)の「Belicleen Air」シリーズは、「発散防止抑制措置」の特例実施許可を取得しています(許可番号:大阪労働局天満署 令和4年度第1号/名義:株式会社ベリカ)。2021年から販売し、累計160台以上を納入。2024年7月には、福井県の塗装作業場で当社のBA400Tが敦賀労働基準監督署に局所排気装置として認められた実績もあります。
制度の経緯(2012年の適用除外)
従来、有機溶剤や特定化学物質を扱う屋内作業では、労働安全衛生法に基づき局所排気装置の設置が義務づけられてきました。しかし、天井が高い、床面積が広い、常設設備が置けないといった工程・工場では、局所排気装置の設置が困難なケースがあります。
こうした現場の実情を受け、2012年3月に示された「発散防止抑制措置に係る適用除外について(基安化発0327第1号)」により、一定の要件を満たす場合に限り、局所排気装置の設置義務が緩和され、代替措置として発散防止抑制装置の利用が認められるようになりました。ただし、導入には所轄の労働基準監督署への申請と、特例実施許可の取得が必要です。
局所排気装置との違い
違いは、装置の構造と、有害物質の処理方法にあります。
| 項目 | 局所排気装置 | 発散防止抑制装置 |
|---|---|---|
| 構造 | フード・ダクト・排風機・空気清浄装置 | 本体と内蔵フィルターのみ |
| 排気 | 処理した空気を屋外へ排出 | 処理した空気を室内へ循環(屋外排気設備なし) |
| ダクト工事 | 必要(壁貫通・配管・屋外排気) | 不要(ダクトレス) |
| 設置場所 | 固定。制約が大きい | 制約が少ない。狭い現場でも置ける |
| 移動 | 困難 | 本体を動かせる。ライン変更に対応しやすい |
| 法的位置づけ | 設置届(工事着工の30日前まで) | 特例実施許可申請(設置場所ごと) |

関連する法令
発散防止抑制装置は、単に設置すればよいものではなく、次の法令に基づいて設置・運用の方法が定められています。
- 労働安全衛生法:労働者の安全と健康の確保、快適な職場環境の形成を目的とする法律。有害物質による健康障害の防止措置の根拠です。(e-Gov 労働安全衛生法)
- 有機溶剤中毒予防規則(有機則):塗装やシンナーなどの有機溶剤を扱う作業で、局所排気装置・プッシュプル型換気装置の設置などを義務づけます。局所排気装置の設置が困難な場合、要件を満たせば発散防止抑制装置を代替措置に用いることが認められる場合があります。(e-Gov 有機溶剤中毒予防規則)
- 特定化学物質障害予防規則(特化則):がんなど重篤な健康被害を招くリスクが高い物質を、有機則より重く管理します。特化則の対象物質については、装置の性能・管理の説明ができ、労働基準監督署の許可を受ける必要があります。(e-Gov 特定化学物質障害予防規則)
導入のメリット
- 有機則対策ができる:局所排気装置が置けない現場でも、要件を満たして特例実施許可を取れば、法令に適した作業環境を構築できます。適切に運用すれば管理区分の維持にもつながります。
- 飛沫・火花・破片の飛散を抑える:蒸気だけでなく、作業中の飛沫やミスト、細かな破片の飛散も抑え、作業空間を安全な状態に保ちます。
- ダクト工事が不要:壁貫通や配管、屋外排気の確保といった大規模工事がいらず、工事期間の短縮と初期費用の抑制になります。
- 移動できる:装置単体で機能するため、生産ラインの変更に合わせて設置場所を変えられます。
当社の対応範囲
当社の「Belicleen Air」シリーズは、局所排気装置の代わりに置ける「発散防止抑制措置」の装置として、大阪労働局天満署の特例実施許可を取得しています。有機溶剤(VOC)を発生源の近くで吸引し、活性炭とHEPAフィルターで吸着してクリーンな空気にして排気します。
当社の装置は有機則対策向けです。特化則(特定化学物質)に該当する物質には対応していません。特例実施許可の申請にあたっては、装置の性能資料や書類作成をサポートします。詳しくは発散防止抑制装置 特例実施許可の申請サポート、局所排気装置が置けない現場の対策は局所排気装置が設置できない現場の有機溶剤対策をご覧ください。

よくある質問
発散防止抑制装置はすべての現場で必要ですか?
いいえ。有機則・特化則の対象物質を扱わない作業や、すでに適切な局所排気装置がある現場では必要ありません。局所排気装置の設置が困難で、飛沫や蒸気の飛散対策が必要な場合の代替措置です。
局所排気装置があれば発散防止抑制装置は不要ですか?
原則として、法令要件を満たす局所排気装置が適切に設置・管理されていれば、発散防止抑制装置を追加する必要はありません。局所排気装置は設置後、1年以内ごとに1回の定期自主検査が必要です。
特例実施許可はどこに申請しますか?
設置場所を管轄する労働基準監督署に申請します。設置場所ごとの許可のため、事業所が複数あればそれぞれ申請が必要です。当社が装置の性能資料や申請書類の作成をサポートします。
導入しても効果が出ないのはなぜですか?
対象物質の種類や使用量が装置の想定を超えている、フィルターの交換・点検が適切でない、設置位置が発生源から離れている、などが主な原因です。用途と現場の状況を踏まえた機種選定が重要です。
この装置について相談する
対策したい溶剤や作業内容、局所排気装置の設置可否など、現場の状況をお知らせください。担当の大滝が最適な機種と、特例実施許可の進め方をご案内します。* は必須です。
VOC空気清浄機事業部 セールスエンジニア。装置の選定から労働基準監督署への対応・特例実施許可の申請まで、現場ごとの相談に応じています。
お問い合わせ:y.otaki@belica.co.jp