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解説 · 約9分

化学物質の自律的管理とリスクアセスメント義務化

監修:大滝良彦(VOC空気清浄機事業部 セールスエンジニア) 公開

化学物質の自律的管理の流れ。リスクアセスメントから対策の実施までのステップ図
自律的管理は「危険性を自分で調べ、自分で対策を決める」という考え方です。

化学物質の自律的管理とは、国が個別に定めた規則に従うだけでなく、事業者自身が扱う化学物質の危険性・有害性を調べ(リスクアセスメント)、必要な対策を決めて実施する仕組みです。2024年4月から、リスクアセスメント対象物質を扱う事業場には、化学物質管理者の選任と、リスクアセスメントの実施が義務づけられました。

当社(ベリクリーンエア)は、有機溶剤(VOC)対策の装置を2021年から販売し、累計160台以上を納入してきました。リスクアセスメントの結果、有機溶剤のばく露を下げる対策が必要になった作業場から、装置の相談を多くいただいています。

目次
  1. なぜ見直されたのか
  2. 化学物質管理者の選任
  3. リスクアセスメントの義務
  4. ラベル・SDS・保護具着用管理責任者
  5. よくある質問

なぜ見直されたのか

国内で流通する化学物質は数万種にのぼりますが、有機則や特化則など個別規則で規制されているのはその一部です。過去の労働災害を分析すると、規則の対象外の物質による中毒や皮膚障害が多く起きていました。そこで、規則に頼るだけでなく、事業者が自ら危険性を調べて対策する「自律的管理」へ移行する方針が示されました。

根拠:厚生労働省「化学物質による労働災害防止のための新たな規制」、e-Gov 労働安全衛生規則

化学物質管理者の選任

2024年4月から、ラベル表示・SDS交付の義務対象物質(リスクアセスメント対象物質)を製造・取扱いする事業場は、化学物質管理者を選任する義務があります。事業場ごとに1人以上を選任し、氏名を掲示するなどして周知します。

  1. 要件:対象物質を製造する事業場は、厚生労働大臣が定める専門的講習(12時間)の修了が必要です。取扱いのみの事業場は、講習に準ずる講習の受講が推奨されます。
  2. 職務:ラベル表示・SDSの管理、リスクアセスメントの実施の管理、ばく露防止措置の実施の管理、労働者への周知・教育、記録の作成など。

リスクアセスメントの義務

リスクアセスメント対象物質を新たに採用するとき、作業手順を変更するとき、対象物質が追加されたときなどに、リスクアセスメントを実施する義務があります。結果は記録し、次のアセスメントまで(少なくとも3年間)保存します。

リスクアセスメントの結果、労働者のばく露を最小限にする措置(発生源の密閉化、局所排気装置・全体換気装置の設置、作業方法の改善、保護具の使用など)を講じます。具体的な進め方は化学物質のリスクアセスメントのやり方(有機溶剤の場合)で解説しています。

ラベル・SDS・保護具着用管理責任者

  1. ラベル表示・SDS交付:対象物質を譲渡・提供するときは、容器へのラベル表示とSDS(安全データシート)の交付が義務です。対象物質は段階的に拡大しています。
  2. 保護具着用管理責任者:リスクアセスメントの結果、保護具を使用させる事業場で選任します。保護具の選択・使用・保守を管理します。
  3. 皮膚等障害化学物質への対応:皮膚から吸収されて健康障害を起こすおそれのある物質を扱う作業では、保護手袋・保護衣などの使用が義務づけられています。

リスクアセスメントの結果、有機溶剤のばく露を下げる工学的対策が必要になったとき、局所排気装置を設置するスペースがない場合は、工事不要の発散防止抑制装置が選択肢になります。当社の装置は有機則対策向けで、大阪労働局天満署の特例実施許可を取得しています(特化則の対象物質には対応していません)。局所排気装置が設置できない現場の有機溶剤対策と、対策効果を測るデモ機貸出をご覧ください。

よくある質問

化学物質管理者は資格が必要ですか?

リスクアセスメント対象物質を製造する事業場では、厚生労働大臣が定める専門的講習(12時間)の修了が必要です。製造以外(取扱いのみ)の事業場では、講習に準ずる講習の受講が推奨されていますが、法令上の必須要件ではありません。事業場ごとに1人以上選任します。

うちのように有機溶剤しか使わない工場も対象ですか?

有機溶剤の多くはリスクアセスメント対象物質に含まれます。ラベル表示・SDS交付の義務対象物質を製造・取扱いする事業場は、原則として化学物質管理者の選任が必要です。

従来の有機則・特化則はどうなりますか?

当面は併存します。自律的な管理が定着した物質から、個別規則の対象を段階的に見直す方針が示されています。現時点では、有機則・特化則の措置に加えて、リスクアセスメントと自律的管理を行う必要があります。

保護具着用管理責任者とは?

リスクアセスメントの結果、労働者に保護具を使用させる事業場で選任する責任者です。保護具の選択、使用状況の管理、保守点検などを担当します。化学物質管理者とは別の役割です。

監修:大滝良彦

VOC空気清浄機事業部 セールスエンジニア。有機溶剤・VOC対策の技術担当として、装置の選定から労働基準監督署への対応まで、現場ごとの相談に応じています。

お問い合わせ:y.otaki@belica.co.jp

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