ブログ / 局所排気装置
解説 · 約8分局所排気装置の届出(必要なケース・不要なケース)
監修:大滝良彦(VOC空気清浄機事業部 セールスエンジニア) 公開

局所排気装置の届出とは、装置の新設・主要構造の変更・移設を行うとき、工事着工の30日前までに「機械等設置届」を所轄の労働基準監督署へ提出する手続きです(労働安全衛生法第88条)。有機則・特化則・粉じん則の対象物質を扱う作業場が対象です。対象物質を扱わない場合や、フィルター交換などの軽微な保守だけの場合は届出は不要です。
当社(ベリクリーンエア)は、局所排気装置の代わりに置ける「発散防止抑制措置」の装置を2021年から販売し、累計160台以上を納入してきました。この装置は設置届ではなく「特例実施許可申請」のルートを取り、2023年に大阪労働局天満署の特例実施許可を取得しています。2024年7月には、福井県の塗装作業場で当社のBA400Tが敦賀労働基準監督署に局所排気装置として認められた実績もあります。
届出が必要なケース・不要なケース
設置届が必要かどうかは、扱う物質と、装置のどこに手を入れるかで決まります。まずは早見表で確認してください。
| 状況 | 設置届 | 補足 |
|---|---|---|
| 有機則・特化則・粉じん則の対象物質を扱う作業場に新設 | 必要 | 工事着工の30日前までに機械等設置届 |
| 主要構造部分(フード・ダクト・空気清浄装置・ファン)を変更 | 必要 | 同上。能力に影響する変更が対象 |
| 装置の設置場所を移設 | 必要 | 同上 |
| 対象物質を扱わない作業場での設置 | 不要 | そもそも法令上の設置義務がない |
| フィルター交換など軽微な保守のみ | 不要 | 主要構造に関わらない範囲 |
| 発散防止抑制措置の装置を局排の代わりに設置 | 不要(別手続き) | 設置届ではなく特例実施許可申請 |
個別の判断は所轄の労働基準監督署が行います。迷うケースは事前に相談するのが確実です。
局所排気装置とは(前提の確認)
局所排気装置とは、工場や実験室で発生する有害な粉じんやガスを、室内に広がる前に発生源のすぐ近くで吸い込み、屋外へ排出する設備です。フードで汚れた空気を捕らえ、ダクトを通してファンで外へ逃がします。大気汚染を防ぐため、集塵機などの清浄装置を介するのが一般的です。
有機則や特化則などの法令基準(制御風速など)を満たさないと、法的に「局所排気装置」として認められません。仕組みと種類は局所排気装置とは(仕組み・種類・点検・届出)で解説しています。
いつ届出が必要になるか
局所排気装置を新設するとき、主要構造を変更するとき、設置場所を移すときに、労働基準監督署への届出が義務づけられています(労働安全衛生法第88条)。届出は工事着工の30日前までです。
届出にあたっては、次の点が法令基準を満たしているかを確認する必要があります。
- 制御風速(法令で定められた吸い込み性能)
- ファンの取付位置
- ダクトの施工方法
手続きのミスで着工が遅れないよう、計画段階から余裕を持って進めることが重要です。
届出が不要なケース
次のような場合は、局所排気装置の設置届は不要です。
- 対象物質を扱わない:有機則・特化則・粉じん則などの規制対象物質を使っていない作業場は、そもそも設置義務がありません。
- 軽微な保守だけ:フィルター交換や清掃など、主要構造部分(フード・ダクト・空気清浄装置・ファン)に関わらない範囲の作業。
- 発散防止抑制措置の装置:局所排気装置の代わりに設置する場合は「設置届」ではなく「特例実施許可申請」を行います(後述)。
「届出不要」の線引きは現場ごとに微妙です。判断に迷うときは、着工前に所轄の労働基準監督署へ確認してください(実務上の一般的な整理です)。
届出そのものを避けたい、書類作成の負担を減らしたいという現場では、工事不要で置ける発散防止抑制措置の装置が選択肢になります。詳しくは局所排気装置が設置できない現場の有機溶剤対策、申請サポートは発散防止抑制装置 特例実施許可の申請サポートをご覧ください。
申請に必要な書類
局所排気装置の届出書類には、主に次のものがあります。
- 機械等設置・移転・変更届
- 局所排気装置摘要書
- 局所排気装置計算書
- 排気系統図
- 排気ファンの製品図面
- 局所排気装置の製品図面
- 局所排気装置予定場所(レイアウト図)
- 建物配置図(周辺図)
摘要書や計算書は圧力損失計算など専門的な内容を含むため、有機則・特化則に準拠した知識が必要です。専門業者やメーカーと連携して作成を進めるのが一般的です。
工事業者を選ぶポイント
局所排気装置の設計は、発生源の形状・空気の流れ・有害物質の性質によって一台ごとに異なります。業者選びで確認すべき点は4つです。
- 施工事例があるか:自社の業種や扱う物質に近い実績があるか。塗装ブースに強い業者と実験室のドラフトチャンバーに強い業者では、持っているノウハウが違います。
- 定期自主検査・メンテナンス体制があるか:1年以内ごとに1回の定期自主検査が義務です。点検・清掃・消耗品交換まで一貫して任せられるか。
- 届出書類の作成サポートがあるか:圧力損失の計算や排気系統図など、知識がないと難しい書類が多いため、どこまで代行してくれるかは重要です。
- アフター対応が早いか:装置が止まると作業者の安全が確保できず、生産ラインの停止につながります。緊急時の連絡体制と部品在庫を確認します。
設置・ダクト工事の流れ
ダクト工事は建物の構造にも関わるため、計画的なステップが欠かせません。問い合わせから引き渡しまでの一般的な流れです。

- 依頼・調査:発生源や建物構造を調査し、扱う物質と頻度をヒアリング。労働基準監督署との事前打ち合わせもここで進めます。
- 設計・見積り:現場に合わせてフード形状・排気方式を設計し、施工スケジュールと見積書を作成します。
- 官庁書類提出:工事着工の30日前までに「設置届」を所轄の労働基準監督署へ提出します。構造図・性能図面・圧力損失計算書などが必要です。
- 施工・試運転・引渡し:配管・据付の後、試運転で吸気量・排出・異音振動を確認します。
- 定期自主検査・アフターケア:1年以内ごとに1回の法定点検。フードの摩耗、ファンの劣化、フィルターの目詰まりを確認します。
現場で見てきたこと
当社は、局所排気装置の設置や届出が難しい現場での有機則対策を専門にしています。担当の大滝が現場に入って分かったことを、実例で紹介します(社名は伏せています)。
福井県の塗装作業場(エチルベンゼンの手塗り):以前から労働基準監督署に局所排気装置の設置を求められていた現場です。屋外へのダクト工事が難しく、設置届のルートは取れませんでした。BA400Tを発生源から約5cmの位置に設置し、排気を屋外へ出す改造を実施。2024年7月16日、敦賀労働基準監督署の立ち会いで、捕集風速0.7m/s・屋外排気口での測定・フィルター管理計画が認められ、BA400Tが局所排気装置として承認されました。設置届ではなく、現場での確認と特例実施許可のルートです。

届出書類の煩雑さや、ダクト工事のスペース・コストがネックで、発散防止抑制措置の装置を選ぶ現場は多くあります。納入は累計160台以上。設置場所ごとに特例実施許可申請が必要で、その書類作成を当社がサポートします。
「同じような形でご採用いただいているお客様がたくさんいます。届出や申請でお困りごとがあれば、いつでも大滝までお尋ねください。」
大滝良彦(VOC空気清浄機事業部 セールスエンジニア)
よくある質問
局所排気装置の設置は義務ですか?
有機則・特化則・粉じん則などの対象物質を扱う作業場では、局所排気装置などの設備の設置が義務づけられています。違反すると労働基準監督署からの是正勧告や罰則の対象になることがあります。
局所排気装置の主要構造部分とは何ですか?
フード(吸込口)、ダクト(搬送管)、空気清浄装置(集塵機など)、ファン(排風機)を指します。この部分を新設・変更・移設するときに設置届が必要になります。
届出が不要なのはどんな場合ですか?
有機則・特化則・粉じん則の対象物質を扱わない場合や、フィルター交換など主要構造に関わらない軽微な保守だけの場合は、設置届は不要です。判断に迷うときは所轄の労働基準監督署に確認してください。
発散防止抑制装置なら届出は不要ですか?
設置届は不要ですが、局所排気装置の代わりとして使う場合は「特例実施許可申請」が必要です。設置場所ごとに申請と許可が必要で、当社が書類作成をサポートします。
局所排気装置の点検は誰がするのですか?
社内の担当者でも可能ですが、「局所排気装置等定期自主検査者研修」を修了した人が行うのが望ましく、専門業者への依頼が一般的です。1年以内ごとに1回の定期自主検査を行い、記録は3年間保管します。
届出やダクト工事がネックなら
設置届の書類が煩雑、屋外へのダクト工事ができない、ライン変更で装置を動かしたい ― そんなときは、工事不要で発生源の近くに置ける当社の脱臭・集塵装置と、特例実施許可の申請サポートをご検討ください。有機則対策と作業環境の改善に、累計160台の実績があります。

VOC空気清浄機事業部 セールスエンジニア。有機溶剤・VOC対策の技術担当として、装置の選定から労働基準監督署への対応・特例実施許可の申請まで、現場ごとの相談に応じています。
お問い合わせ:y.otaki@belica.co.jp