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解説 · 約9分

有機溶剤中毒予防規則(有機則)をわかりやすく解説

監修:大滝良彦(VOC空気清浄機事業部 セールスエンジニア) 公開

有機溶剤作業場の局所排気装置の全体図
有機則は、有機溶剤を扱う屋内作業に、局所排気装置の設置や作業環境測定などを義務づけています。

有機溶剤中毒予防規則(有機則)とは、労働安全衛生法に基づき、有機溶剤の蒸気による中毒や健康障害を防ぐために定められた厚生労働省令です。対象の有機溶剤を扱う屋内作業には、局所排気装置などの設備、6か月以内ごとの作業環境測定、有機溶剤健診、作業主任者の選任、掲示の5つが主な義務として課されます。

当社(ベリクリーンエア)は、有機則対策として、局所排気装置の代わりに置ける「発散防止抑制措置」の装置を2021年から販売し、累計160台以上を納入してきました。2023年には大阪労働局天満署の特例実施許可を取得しています。2024年7月には、福井県の塗装作業場で当社のBA400Tが敦賀労働基準監督署に局所排気装置として認められた実績もあります。

目次
  1. 有機則とは(目的と位置づけ)
  2. 対象となる有機溶剤の区分
  3. 事業者の5つの主な義務
  4. 作業主任者の選任
  5. 有機溶剤健診
  6. 適用除外と特化則との違い
  7. よくある質問

有機則とは(目的と位置づけ)

有機則は、労働安全衛生法第22条・第27条などに基づいて定められた省令です。目的は、有機溶剤の蒸気を吸い込むことによる急性中毒(頭痛・めまい・意識障害)や、長期の曝露による慢性障害(中枢神経・肝臓・腎臓への影響)から作業者を守ることにあります。

有機溶剤を扱う事業者は、設備・作業環境管理・健康管理・教育の各面で、有機則が定める措置を講じる必要があります。

根拠:e-Gov 有機溶剤中毒予防規則e-Gov 労働安全衛生法

対象となる有機溶剤の区分

有機則の対象となる有機溶剤は、有害性の程度で第1種・第2種・第3種に分けられています。区分によって、作業環境測定の要否や掲示の色(第1種は赤・第2種は黄・第3種は青)が変わります。

  1. 第1種有機溶剤:有害性が特に高い溶剤。数は少なく、作業環境測定と有機溶剤健診の対象です。
  2. 第2種有機溶剤:最も種類が多い区分。トルエン、キシレン、酢酸エチル、アセトン、MEK、IPAなど、塗装・印刷・洗浄で広く使われる溶剤が含まれます。作業環境測定と有機溶剤健診の対象です。
  3. 第3種有機溶剤:ガソリン、石油ベンジン、ミネラルスピリットなど。原則として作業環境測定の対象外ですが、掲示や換気などの措置は必要です。

区分ごとの詳細と色分け表示については有機溶剤の第1種・第2種・第3種の違いで解説しています。

事業者の5つの主な義務

義務内容頻度・タイミング
設備局所排気装置・プッシュプル型換気装置などの設置。設置後は1年以内ごとに1回の定期自主検査作業開始まで/年1回
作業環境測定第1種・第2種の有機溶剤を扱う屋内作業で気中濃度を測定し、管理区分を評価6か月以内ごとに1回
有機溶剤健診対象業務に常時従事する労働者への特殊健康診断6か月以内ごとに1回
作業主任者有機溶剤作業主任者を選任し、作業方法の決定・装置の点検などを行わせる対象作業の実施時
掲示・表示人体への影響・注意事項・応急処置の掲示、区分の色分け表示常時

局所排気装置を設置するスペースがない、建物が賃貸でダクト工事ができない場合は、工事不要の発散防止抑制装置が選択肢になります。当社の装置は有機則対策向けで、大阪労働局天満署の特例実施許可を取得しています(特化則の対象物質には対応していません)。詳しくは局所排気装置が設置できない現場の有機溶剤対策をご覧ください。

作業主任者の選任

有機溶剤を扱う屋内作業などでは、「有機溶剤作業主任者技能講習」を修了した者から作業主任者を選任し、作業方法の決定、局所排気装置の点検(1か月以内ごとに1回)、保護具の使用状況の監視などを行わせます。

職務の詳細と選任が必要な作業の範囲は有機溶剤作業主任者の職務と選任で解説しています。

有機溶剤健診

有機溶剤の対象業務に常時従事する労働者には、6か月以内ごとに1回、特殊健康診断(有機溶剤健診)を行います。問診に加え、尿中代謝物の検査など、溶剤ごとに定められた項目を実施します。

対象者・検査項目・記録の保存については有機溶剤の特殊健康診断(有機溶剤健診)とはで解説しています。

適用除外と特化則との違い

一定の条件では、有機則の一部の規定が適用除外になることがあります。代表的なケースは次のとおりです。

  1. 消費量が少ない:作業時間1時間あたりの有機溶剤の消費量が「許容消費量」以下で、労働基準監督署長の認定を受けた場合。
  2. 含有率が低い:有機溶剤等の含有率が、原則として容量比5%以下の場合。
  3. 屋外作業・開放空間:通風が十分な屋外での作業など。

「使用量が少ないから対策不要」と自己判断するのは危険です。適用除外の判断は、所轄の労働基準監督署に確認してください。特定化学物質障害予防規則(特化則)は、有機則より有害性の高い物質を対象とし、より重い管理を求めます。有機則と特化則の違いは特化則とは(有機則との違い・含有濃度と管理濃度)で解説しています。

よくある質問

有機則の対象になるのはどんな作業ですか?

有機則で定める有機溶剤(第1種・第2種・第3種)を、原則として容量比5%を超えて含む製剤を使って行う屋内作業などが対象です。塗装、印刷、接着、洗浄・脱脂、含浸、試験研究などが該当します。

有機則の適用除外はありますか?

使用量が少ない場合(消費量が許容消費量以下)、屋外作業、有機溶剤の含有率が基準以下の場合などに、一部の規定が適用除外になることがあります。判断は所轄の労働基準監督署にご確認ください。

有機則と特化則の違いは?

特化則の対象物質は、がんなど重篤な健康被害のリスクが高く、有機則より重い管理(専用の洗浄設備、30年間の記録保存など)が求められます。当社の装置は有機則対策向けで、特化則の対象物質には対応していません。

掲示は何を掲げればいいですか?

有機溶剤の人体への影響、取扱い上の注意事項、中毒が起きたときの応急処置を、作業中の労働者が見やすい場所に掲示します。区分(第1種は赤・第2種は黄・第3種は青)の色分け表示も必要です。

監修:大滝良彦

VOC空気清浄機事業部 セールスエンジニア。有機溶剤・VOC対策の技術担当として、装置の選定から労働基準監督署への対応まで、現場ごとの相談に応じています。

お問い合わせ:y.otaki@belica.co.jp

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