ブログ / 化学物質管理
解説 · 約8分特化則とは(有機則との違い・含有濃度と管理濃度)
監修:大滝良彦(VOC空気清浄機事業部 セールスエンジニア) 公開

特定化学物質障害予防規則(特化則)とは、がんや皮膚炎などの重篤な健康障害を引き起こすおそれのある化学物質から労働者を守るための厚生労働省令です。塗装や洗浄の現場で馴染み深い「有機則」より対象物質の有害性が高く、第一類〜第三類に分類されて、より厳格な管理が求められます。
先に結論です。当社(ベリクリーンエア)の装置は有機則対策向けで、特化則(特定化学物質)に該当する物質には対応していません。この記事は特化則そのものの解説です。当社の対応範囲はこの記事の後半で改めてご説明します。
有機則との違い
有機則と特化則は、どちらも労働安全衛生法に基づく規則で、「職場の安全と健康を確保する」という共通の目的を持ちます。違いは、対象となる化学物質の種類と有害性の度合いです。
| 項目 | 有機則 | 特化則 |
|---|---|---|
| 対象物質 | 44種類の有機溶剤 | 指定された特定化学物質(随時追加) |
| 分類 | 第1種〜第3種 | 第一類〜第三類 |
| 主に防ぐ健康被害 | 急性の事故・中毒 | がんなど慢性・遅発性の障害 |
| 主な措置 | 局所排気装置等の設置、作業環境測定、健診 | 左記に加え、専用の洗浄設備、記録の長期保存 |
| 記録の保存期間 | 測定結果は3年 | 健診・作業記録・測定結果は30年 |
特化則に該当する物質は有機則の対象物質より有害性が高く、より厳格な管理が求められます。事業者は、自社で扱う化学物質がどちらの規則で指定されているかを正確に把握し、それぞれの法令に適合した設備導入や健康診断を行う必要があります。
含有濃度と管理濃度
特化則を運用するうえで欠かせないのが「含有濃度」と「管理濃度」です。用語は似ていますが、意味は異なります。
- 含有濃度:製品自体に特定化学物質が含まれる割合です。この基準値を超えると特化則の規制対象になります。
- 管理濃度:作業場所の空気中に存在する指定物質の濃度基準です。対象物質を使用する際は、労働者の安全を守るため、空気中の濃度をこの数値以下に抑える義務があります。
これらの数値は物質ごとに異なり、管理濃度の設定がない物質もあります。対象物質を扱う際は、それぞれの基準値を正確に把握し、適切な環境の維持に努めることが重要です。
特定化学物質の3つの分類
特定化学物質は、有害性の程度や障害の現れ方によって、次の3つに分類されます。
- 第一類物質:がんや重篤な慢性障害の原因となり、特化則の中でも特に有害性が高い物質です。製造には許可が必要です。
- 第二類物質:がんなどの慢性障害を招くおそれはあるものの、第一類ほどのレベルには至らない物質です。特定第2類物質、特別有機溶剤等、オーラミン等、管理第2類物質に細分されます。
- 第三類物質:大量に漏れた場合に急性中毒を引き起こす物質です。
将来的な健康リスクを伴うものから、事故の際に即座に影響が出るものまで性質は大きく異なります。取り扱う物質がどの分類に属するかを正しく把握することが、適切な安全対策の大前提です。
事業者に求められる対応措置
特化則は分類ごとに適用される規制が異なり複雑です。共通して求められる主なルールは次のとおりです。
- 特定化学物質作業主任者の選任と、作業者への有害性の周知
- 年2回の特定化学物質健康診断と作業環境測定の実施
- 局所排気装置などの設置(蒸気・粉じん対策)
- 健康診断・作業記録・測定結果の30年間保存
- 洗身・洗眼設備および洗濯設備の設置(第一類・第二類物質)
これらは通常の有機則の義務に加え、30年という長期の記録管理や、設置に数十万円規模の費用がかかる洗浄設備の導入が義務づけられます。従業員の健康リスクに加え、事務的・経済的な負担が大きい点が特化則の特徴です。
違反した場合の罰則
特化則は労働安全衛生法に基づく法令であり、違反した事業者は法的責任を問われます。労働基準監督署の監督で管理不備が認められた場合、まずは是正勧告などの行政指導を受けますが、これに従わない、または重大な過失が認められると罰則の対象になります。
刑事罰として3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があり、社名が公表されれば社会的信用も損なわれます。経営リスクと従業員の健康被害を防ぐため、法令に沿った安全対策の徹底が欠かせません。
当社の対応範囲
当社(ベリクリーンエア)の「Belicleen Air」シリーズは、局所排気装置の代わりに置ける「発散防止抑制措置」の装置として、大阪労働局天満署の特例実施許可を取得しています。ただしこれは有機則対策向けの許可であり、特化則(特定化学物質)に該当する物質には対応していません。特化則の対象物質を扱う現場では、専用に設計された局所排気装置や洗浄設備など、特化則の要件を満たす設備をご検討ください。有機則対策については局所排気装置が設置できない現場の有機溶剤対策をご覧ください。

よくある質問
特化則とは何ですか?
特定化学物質障害予防規則(特化則)は、がんや皮膚炎などの重篤な健康障害を引き起こすおそれのある化学物質から労働者を守るための厚生労働省令です。対象物質は有害性の程度により第一類〜第三類に分類されます。
有機則と特化則の違いは何ですか?
有機則は主に溶剤による急性の事故や中毒を防ぐことを目的とし、44種類の有機溶剤を第1種〜第3種に分類します。特化則は発がん性などの慢性・遅発性の健康障害の予防を重視し、専用の洗浄設備の設置や30年間の記録保存など、より重い管理を求めます。
特化則の資格は必要ですか?
対象物質を扱う作業場ごとに、講習を修了した「特定化学物質作業主任者」を選任する必要があります。設備の点検、労働者の指揮、保護具の使用状況の監督などを担います。取り扱う物質によっては、別途専門の資格が必要な場合もあります。
ベリクリーンエアの装置は特化則の対策になりますか?
なりません。当社の装置は有機則対策向けで、特化則(特定化学物質)に該当する物質には対応していません。特化則の対象物質を扱う現場では、専用の局所排気装置や洗浄設備など、特化則の要件を満たす設備をご検討ください。
有機則対策のご相談
扱っている物質が有機則の対象で、局所排気装置の設置が難しい ― そんなときは、工事不要で発生源の近くに置ける当社の脱臭・集塵装置をご検討ください。有機則対策と作業環境の改善に、累計160台の実績があります(特化則の対象物質には対応していません)。

VOC空気清浄機事業部 セールスエンジニア。有機溶剤・VOC対策の技術担当として、装置の選定から労働基準監督署への対応まで、現場ごとの相談に応じています。
お問い合わせ:y.otaki@belica.co.jp