ブログ / 作業環境測定
解説 · 約7分有機溶剤の作業環境測定(対象作業・頻度・A測定B測定)
監修:大滝良彦(VOC空気清浄機事業部 セールスエンジニア) 公開

有機溶剤の作業環境測定は、有機則の第1種・第2種の有機溶剤を扱う屋内作業に義務づけられた測定です。頻度は6か月以内ごとに1回。作業場全体を評価するA測定と、作業者のばく露のピークを評価するB測定を組み合わせて行い、混合有機溶剤の場合は各成分の換算値を合計して評価します。測定は作業環境測定士が行い、記録は3年間保管します。
この記事は作業環境測定と管理区分のうち、有機溶剤に特化した測定のルールを掘り下げたものです。当社(ベリクリーンエア)は、測定結果が第三管理区分となった有機溶剤の作業場での対策の相談を多くいただいています。
対象となる作業
有機溶剤中毒予防規則で定める、第1種有機溶剤等または第2種有機溶剤等を用いて行う屋内作業が対象です。代表的な物質は、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、イソプロピルアルコール(IPA)などです。塗装、印刷、接着、洗浄・脱脂、含浸などの作業でよく使われます。
第3種有機溶剤のみを用いる作業は、原則として作業環境測定の対象外です。ただし、タンクの内部など通風が不十分な場所での作業は測定が必要です。
A測定とB測定
| 項目 | A測定 | B測定 |
|---|---|---|
| 目的 | 作業場全体の平均的な状態の評価 | 作業者のばく露のピークの評価 |
| 測定点 | 作業場を単位区域(原則6m以下の等間隔)に分け、各交点で測定 | 有害物質の発生源に近く、作業者が最も多くばく露する位置 |
| 時間 | 1点あたり10分以上、作業が定常的な時間帯 | 作業者のばく露が最大となる時間帯(15分間) |
| 評価 | 第一評価値・第二評価値を算出し管理濃度と比較 | 測定値をそのまま管理濃度と比較 |
管理区分は、A測定の評価とB測定の結果の両方で決まります。B測定値が管理濃度を超えると、A測定の結果にかかわらず第三管理区分です。区分の判定の仕組みは第一・第二・第三管理区分の違いで解説しています。
混合有機溶剤の換算
現場で使う有機溶剤は、単一成分よりも混合物であることが多いです。混合有機溶剤の評価は、各成分の測定濃度を、その成分の管理濃度で割った値(換算値)を合計して行います。
例えば、トルエンの測定値が管理濃度の0.6、キシレンが0.5だった場合、換算値の合計は1.1で、1を超えているため管理濃度超過の扱いになります。単一成分ではどちらも基準内でも、合計で超えることがある点に注意します。
実務の流れ
- 測定士・測定機関の手配:自社で選任した作業環境測定士に依頼するか、外部の作業環境測定機関に委託します。
- デザイン(測定計画):単位区域の設定、測定点、B測定の対象作業と時間帯を決めます。
- サンプリング・分析:現場で試料を採取し、分析します。
- 評価・管理区分の判定:評価値を算出し、管理濃度と比較して区分を判定します。
- 記録・改善:結果を3年間保管し、第二・第三管理区分なら改善措置を講じます。
よくある質問
第3種有機溶剤も測定が必要ですか?
原則として、第3種有機溶剤のみを扱う作業は作業環境測定の対象外です。ただし、タンク等の内部での作業など一部の作業では測定が必要です。第1種・第2種の有機溶剤を扱う作業は対象です。
A測定とB測定はどう違いますか?
A測定は作業場を単位区域に分けて複数点で行い、作業場全体の平均的な状態を評価します。B測定は、作業者が有害物質に最も多くさらされる作業位置・時間帯で行い、ピークのばく露を評価します。両方の結果で管理区分が決まります。
混合有機溶剤の評価はどうしますか?
各成分の測定濃度を、それぞれの管理濃度で割った値(換算値)をすべて足します。合計が1を超えると、管理濃度を超過したものとして扱います。単一成分の測定値だけで判断してはいけません。
測定を忘れていた場合はどうなりますか?
作業環境測定は法令上の義務です。実施していないと労働基準監督署の指導対象になり、健康障害が起きた場合の責任も重くなります。まず測定士または測定機関に相談し、速やかに測定してください。
VOC空気清浄機事業部 セールスエンジニア。装置の選定から労働基準監督署への対応・特例実施許可の申請まで、現場ごとの相談に応じています。
お問い合わせ:y.otaki@belica.co.jp