ブログ / 作業環境測定
解説 · 約8分作業環境測定と管理区分(第一・第二・第三の意味)
監修:大滝良彦(VOC空気清浄機事業部 セールスエンジニア) 公開

作業環境測定とは、有機溶剤や粉じんなどの有害物質を扱う作業場で、空気中の濃度を定期的に測り、その結果を「管理濃度」と比べて評価する制度です。評価の結果は第一・第二・第三の管理区分で表され、第一が良好、第三が要改善です。第三管理区分になった事業者には、法令上の改善措置が求められます。
当社(ベリクリーンエア)は、局所排気装置の代わりに置ける「発散防止抑制措置」の装置を2021年から販売し、累計160台以上を納入してきました。作業環境測定で第三管理区分となった作業場や、労働基準監督署の指導を受けた作業場での導入相談を多くいただいています。2024年7月には、福井県の塗装作業場で当社のBA400Tが敦賀労働基準監督署に局所排気装置として認められた実績もあります。
作業環境測定とは
作業環境測定は、労働安全衛生法に基づき、有害物質を扱う一定の作業場(指定作業場)に義務づけられた測定です。目的は、作業者がどれくらいの濃度の有害物質にさらされているかを把握し、作業環境が適切に保たれているかを確認することにあります。
測定は、作業場を単位区域に分けて複数点で行うA測定と、作業者の近くで発生源に最も近い状態を測るB測定を組み合わせます。測定した濃度は、物質ごとに定められた「管理濃度」と比較して評価します。管理濃度は、行政的に定められた作業環境管理の目安値で、有害性の評価に用いる許容濃度とは別のものです。
測定の対象と頻度
作業環境測定が必要な主な作業場と、測定の頻度は次のとおりです。
| 作業場 | 測定の頻度 | 記録の保存 |
|---|---|---|
| 有機溶剤(第1種・第2種)を扱う屋内作業 | 6か月以内ごとに1回 | 3年間 |
| 特定化学物質(第1類・第2類)を扱う屋内作業 | 6か月以内ごとに1回 | 3年間(特別管理物質は30年間) |
| 粉じん作業(特定粉じん作業のある屋内) | 6か月以内ごとに1回 | 7年間 |
| 鉛を扱う屋内作業 | 1年以内ごとに1回 | 3年間 |
| 著しく暑熱・寒冷・多湿な屋内作業場 | 半月以内ごとに1回 | 3年間 |
上記は代表的な例です。設備や作業を変更したときは、そのつど測定します。詳細は法令原文と所轄の労働基準監督署でご確認ください。
管理区分の意味(第一・第二・第三)
測定した濃度を統計処理して求めた評価値と、管理濃度の関係で、作業場は3つの区分のいずれかに評価されます。
- 第一管理区分:作業場のほとんどの場所で気中濃度が管理濃度を下回っている状態。作業環境はおおむね適切で、現状を維持します。
- 第二管理区分:作業環境に改善の余地がある状態。設備・作業方法などを点検し、改善に努めます。
- 第三管理区分:作業環境が明らかに適切でない状態。事業者は速やかに原因を調べ、施設・設備・作業方法などの改善措置を講じる義務があります。
第一・第二・第三管理区分の違い
区分は、第一評価値・第二評価値という2つの統計値と管理濃度の関係で決まります。第一評価値は「作業場のほぼ全域の濃度がこの値以下」、第二評価値は「作業場の平均的な濃度」を表します。
- 第一評価値 < 管理濃度 なら第一管理区分。
- 第二評価値 ≦ 管理濃度 ≦ 第一評価値 なら第二管理区分。
- 管理濃度 < 第二評価値 なら第三管理区分。
つまり、第三管理区分は「作業場の平均濃度そのものが管理濃度を超えている」状態です。局所排気装置の性能不足、設置位置のずれ、作業量の増加などが主な原因になります。
有機溶剤の作業環境測定
有機溶剤を扱う屋内作業では、6か月以内ごとに1回の測定が必要です。対象は有機則の第1種・第2種の有機溶剤を扱う業務で、トルエン、キシレン、酢酸エチル、アセトン、MEK、IPAなどが含まれます。第3種有機溶剤は、原則として作業環境測定の対象外ですが、タンク内など特定の作業では測定が必要です。
測定はA測定とB測定を組み合わせて行い、混合有機溶剤の場合は各成分の測定値を管理濃度で割った値を合計して評価します(換算値の合計が1を超えると管理濃度超過の扱い)。詳しくは有機則の該当条文と、作業環境測定基準をご確認ください。
第三管理区分になったら
第三管理区分と評価されたら、事業者は次の対応を取ります。放置は労働基準監督署の指導・是正勧告につながります。
- 原因の調査:局所排気装置の性能、フードの位置、作業量、作業方法を点検します。
- 改善措置:設備の改修・増設、作業方法の変更、局所排気装置の設置・能力向上などを行います。
- 効果の確認:改善後にあらためて測定し、管理区分が改善したかを確認します。
- 改善が困難な場合:2022年の省令改正で、第三管理区分が継続する作業場には、作業環境管理専門家の意見聴取、呼吸用保護具の使用と装着確認、記録の保存などがさらに求められるようになりました。
局所排気装置を設置するスペースがない、建物が賃貸でダクト工事ができない――そうした現場では、工事不要の発散防止抑制装置が選択肢になります。当社の装置は有機則対策向けで、大阪労働局天満署の特例実施許可を取得しています(特化則の対象物質には対応していません)。詳しくは局所排気装置が設置できない現場の有機溶剤対策をご覧ください。導入前にデモ機で自社の作業場の濃度を測ることもできます。
よくある質問
作業環境測定は誰が行いますか?
指定作業場(有機溶剤・特定化学物質・粉じんなどを扱う作業場)の測定は、作業環境測定士(または作業環境測定機関)が行います。事業者が自社で選任した測定士に依頼するか、外部の測定機関に委託します。
測定の頻度は?
有機溶剤・特定化学物質の作業では6か月以内ごとに1回、粉じん作業では6か月以内ごとに1回(一部は1年以内ごと)が基本です。作業内容や設備を変更したときも測定します。記録は3年間保管します(一部の物質は30年間)。
管理区分はどう決まりますか?
測定結果を管理濃度と比べて評価します。作業場全体の状態がおおむね適切なら第一管理区分、改善の余地があれば第二管理区分、明らかに適切でなければ第三管理区分です。判定は評価値(第一評価値・第二評価値)と管理濃度の関係で機械的に決まります。
第三管理区分になったら罰則がありますか?
第三管理区分そのものに直ちに罰則があるわけではありませんが、事業者には改善措置を講じる義務があり、放置すれば労働基準監督署の指導・是正勧告の対象になります。改善しないまま健康障害が起きた場合の責任は重くなります。
局所排気装置が置けない作業場はどう改善しますか?
一定の要件を満たせば、屋外ダクトを持たない発散防止抑制装置を局所排気装置の代わりに設置できる場合があります。有機則対策であれば当社の装置が選択肢です。導入前にデモ機で自社の作業場の濃度を測ることもできます。
VOC空気清浄機事業部 セールスエンジニア。装置の選定から労働基準監督署への対応・特例実施許可の申請まで、現場ごとの相談に応じています。
お問い合わせ:y.otaki@belica.co.jp