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解説 · 約9分有機溶剤・VOC対策の設備に使える補助金(ものづくり補助金ほか)
監修:大滝良彦(VOC空気清浄機事業部 セールスエンジニア) 公開

局所排気装置、プッシュプル型換気装置、発散防止抑制装置、脱臭・集塵装置などの有機溶剤・VOC対策設備には、国の補助金・助成金が複数使えます。主なものは、ものづくり補助金(新事業進出・ものづくり商業サービス補助金)、中小企業省力化投資補助金、業務改善助成金、エイジフレンドリー補助金の4つです。補助率はおおむね2分の1から3分の2、上限は制度によって100万円から数千万円まで幅があります。金額と要件は毎年度変わるため、申請前に各制度の公式ページで最新の公募要領を確認してください。
設備の価格は、有機溶剤・VOC対策でいちばん相談が多いところです。この記事では、対策設備の投資に使える代表的な制度を、狙い・補助率・上限・窓口の順で整理します。当社(ベリクリーンエア)の発散防止抑制装置やデモ機貸出を検討するときの、資金計画の材料としてお使いください。
補助金を探す前に押さえる3つのこと
有機溶剤対策の設備に補助金を使うとき、多くの人がつまずくのは「法令で必要だから買う」という説明だけで申請してしまうことです。審査のある補助金は、対策そのものではなく、生産性の向上・新しい事業・労働災害の防止という文脈で採択されます。先に次の3点を押さえてください。
- 設備で何が良くなるかを書く:不良率の低下、稼働率の向上、換気調整や点検の省人化、作業環境の改善など。局所排気装置や発散防止抑制装置を「入れると業務がどう変わるか」を数字で示せると通りやすくなります。
- 対象は中小企業・小規模事業者が中心:資本金と従業員数の上限は業種で決まっています。自社が当てはまるかを中小企業庁の定義ページで確認します。
- 交付決定の前に発注しない:交付決定より前に契約・発注・支払いをした設備は、原則として対象外です。補助金は後払いで、決定を待ってから動くのが鉄則です。
制度には、事業計画を審査して採否を決める公募型(ものづくり補助金、省力化投資補助金など)と、要件を満たせば受給できる助成金型(業務改善助成金など)があります。自社の準備できる体制に合わせて選びます。
4制度の早見
有機溶剤・VOC対策の設備投資でまず候補になる4つの国の制度と、あわせて見ておきたい自治体の補助金を並べます。上限や補助率は年度で変わるので、めやすとして見てください。
| 制度 | 主な狙い | 補助率のめやす | 上限のめやす | 窓口 |
|---|---|---|---|---|
| ものづくり補助金 | 革新的な製品・工法の開発、新市場への進出 | 2分の1〜3分の2 | 3,000万円(賃上げ特例で4,000万円) | 中小企業庁 |
| 省力化投資補助金 | 人手不足に対応する省力化・自動化の投資 | 2分の1(小規模は3分の2) | 従業員数に応じて750万〜8,000万円 | 中小機構 |
| 業務改善助成金 | 事業場内最低賃金の引上げと生産性向上をセットで | 4分の3〜10分の9(賃金水準による) | 引上げ額と人数に応じて30万〜600万円 | 厚生労働省(都道府県労働局) |
| エイジフレンドリー補助金 | 高年齢労働者が安全に働ける職場づくり | 2分の1(コースによる) | 100万円前後(コースによる) | 厚生労働省(委託先の事務局) |
| 自治体の補助金 | 地域の設備投資・環境対策・省エネなど | 3分の1〜2分の1が多い | 数十万〜数百万円が中心 | 都道府県・市区町村 |
補助率・上限は各制度の最新の公募要領による。この表は2026年9月時点で公表されている内容をもとにしためやすです。
ものづくり補助金
2026年に、従来の「ものづくり補助金」と「中小企業新事業進出補助金」が統合され、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金になりました。中小企業が、技術的に新しい製品・サービスの開発や、新しい市場・高付加価値の事業への進出のために行う設備投資などを支援する制度です。
- 補助上限:第1回公募で最大3,000万円。大幅な賃上げの特例を使うと最大4,000万円。
- 補助率:2分の1または3分の2。
- 対象経費の中心:機械装置・システム構築費。設備そのものの購入費が含まれます。
- 第1回公募の締切:令和8年10月30日。
注意点は、単なる設備の更新や維持は対象外という点です。有機溶剤・VOC対策設備でこの制度を狙うなら、その設備が新しい製品ラインや新工法、新市場への進出の中心になっていることを事業計画で示す必要があります。付加価値額を年3%以上増やすなどの目標も求められます。
中小企業省力化投資補助金
人手不足の解消に向けた省力化・自動化の投資を支援する制度です。カタログから選ぶ「カタログ注文型」と、自社の現場に合わせて設備を設計する「一般型」があり、有機溶剤・VOC対策設備は一般型で検討します。運営は中小機構です。
一般型の補助率は中小企業で2分の1、小規模事業者・再生事業者で3分の2です。補助上限は従業員数で変わります。
- 5名以下:750万円
- 6〜20名:1,500万円
- 21〜50名:3,000万円
- 51〜100名:5,000万円
- 101名以上:8,000万円
いずれも、大幅な賃上げの特例を使うと上限が引き上がります。
基本要件として、労働生産性を年平均4.0%以上、1人当たりの給与総額を年平均3.5%以上増やすこと、事業所内最低賃金を地域別最低賃金プラス30円以上にすることが求められます。VOC対策設備で「常時の換気監視や手動調整、点検・記録の手間が減る」といった省力化の効果を数字で示せる場合に向いています。
出典:中小機構「中小企業省力化投資補助金(一般型)」
業務改善助成金
事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を50円以上引き上げ、あわせて生産性の向上に役立つ設備投資などを行った場合に、その費用の一部を助成する厚生労働省の制度です。対象は中小企業・小規模事業者です。
助成の上限は、賃金の引上げ額と対象となる労働者の人数に応じて30万円から600万円の範囲です。対象経費には機械装置等の購入費が含まれ、生産性の向上や労働能率の増進に役立つ設備であれば幅広く認められます。令和8年度の交付申請の受付は令和8年9月1日に始まっています。
この制度は事業計画の競争ではなく、要件を満たしているかを審査するタイプです。ただし賃上げが必須なので、賃金の改定計画とセットで進める必要があります。局所排気装置や発散防止抑制装置を入れて作業環境を整えつつ賃上げも行う、という会社には使いやすい制度です。
出典:厚生労働省「業務改善助成金」、令和8年度業務改善助成金のご案内(PDF)
エイジフレンドリー補助金
高年齢の労働者が安全・健康に働ける職場づくりを支援する厚生労働省の制度です。令和8年度は、専門家総合対策コース、熱中症対策コース、コラボヘルスコースの3つに再編されました。中小企業・小規模事業者が対象です。
専門家によるリスクアセスメントの結果にもとづいて設備・装置を導入する場合、補助率は2分の1、上限は100万円前後です(コースにより異なります)。溶剤のにおいや有害物のばく露を下げる設備が、高年齢労働者の健康確保という文脈で対象になり得ます。
対象になる設備の範囲はコースごとに細かく決まっており、年度でも変わります。この制度を使うときは、申請前に必ず公式のパンフレットとQ&Aで対象経費を確認してください。ここに書いたコース構成は令和8年度の内容で、次年度は変わる可能性があります。
出典:厚生労働省「エイジフレンドリー補助金」、中央労働災害防止協会「エイジフレンドリー補助金を活用した設備改善」
自治体の補助金と税制優遇
国の制度のほかに、都道府県や市区町村にも設備投資・環境対策・省エネをテーマにした補助金があります。金額は数十万円から数百万円が中心で、国の補助金と同じ経費に重ねて使うことはできませんが、選択肢として押さえておく価値があります。
- 探し方:中小機構のJ-Net21 支援情報ヘッドラインで、地域・カテゴリ別に検索できます。会員登録は不要です。
- 相談先:地元の商工会議所・商工会、各都道府県のよろず支援拠点。公募前の情報や書類の書き方を教えてもらえます。
- 税制:補助金ではありませんが、中小企業経営強化税制や中小企業投資促進税制で、機械装置の即時償却や取得価額の一定割合の税額控除が使える場合があります。適用の可否は顧問税理士に確認してください。
出典:J-Net21「中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制」、国税庁タックスアンサー No.5434 中小企業経営強化税制
申請の一般的な流れ
制度によって細かい手順は違いますが、公募型の補助金はおおむね次の順で進みます。いちばん大事なのは、交付決定が出るまで発注も契約もしないことです。
- 制度の選定と要件確認:自社が対象か、賃上げや生産性の要件を満たせるかを確認します。
- 事業計画・賃上げ計画の作成:設備で何が良くなるかを数字で書きます。必要なら支援機関に相談します。
- 電子申請:多くの制度はjGrantsなどのオンライン申請です。gBizIDプライムの取得に時間がかかるので早めに。
- 交付決定:ここで初めて発注できます。
- 発注・契約・設置:相見積りを取り、支払いの証拠書類(振込記録など)を残します。
- 実績報告・確定検査:かかった費用と成果を報告します。
- 補助金の入金:確定検査のあと、後払いで振り込まれます。
- 事業化状況の報告:一定期間、毎年の状況報告が必要な制度もあります。

局所排気装置を入れたいのに、置くスペースがない、建物が賃貸でダクト工事ができない、というときは、工事不要の発散防止抑制装置が選択肢になります。当社(ベリクリーンエア)の装置は局所排気装置が設置できない現場の有機溶剤対策で、発散防止抑制措置の特例実施許可(大阪労働局天満署 令和4年度第1号)を取得しています。累計160台の導入実績があり、あるインクジェット印刷ドックのMEK対策では、付近の濃度400〜500ppmが装置の設置後に0ppmで安定した測定例があります(2024年7月)。においや粉じんの回収なら業務用の脱臭・集塵装置、導入前に自社の現場で効果を測るならデモ機貸出をご利用ください。当社の装置は有機則対策向けで、特化則の対象物質には対応していません。
よくある質問
局所排気装置の購入に補助金は使えますか?
使える制度はあります。ただし「法令対応で必要だから」という理由だけでは、審査のある補助金は通りにくいです。その設備を入れると不良率が下がる、稼働率が上がる、点検や換気調整の手間が減る、労働環境が良くなるといった効果を事業計画に具体的に書くことが前提になります。候補は、ものづくり補助金、中小企業省力化投資補助金、業務改善助成金、エイジフレンドリー補助金です。
発散防止抑制装置(ダクト工事が不要な装置)も対象になりますか?
機械装置の購入費として対象になり得ます。据付費や付帯工事の扱いは制度ごとに違うため、公募要領の対象経費の欄を必ず確認してください。ダクト工事が不要なぶん対象経費がシンプルになり、見積りや実績報告の手間は少なくなります。
補助金はいつもらえますか?
原則として、事業が完了して実績報告を出し、確定検査が終わったあとの後払いです。交付決定から入金まで半年から1年かかることもあります。設備代金はいったん全額を自社で支払う必要があるため、つなぎの資金を用意しておいてください。
複数の補助金を同時に使えますか?
同じ経費に国の補助金を重ねて充てることはできません。対象とする経費が別であれば併用できる場合もあります。自治体の補助金と国の補助金の併用は、自治体側の要綱しだいです。申請前に両方の窓口へ確認してください。
申請は自分でできますか?
業務改善助成金のように要件を満たせば受給できるタイプは、自力で申請する事業者も多いです。ものづくり補助金や省力化投資補助金のように事業計画を審査するタイプは、認定経営革新等支援機関や商工会議所、よろず支援拠点の支援を受けたほうが採択されやすくなります。
今年度の締切や金額はどこで確認すればよいですか?
各制度の公式サイトです。この記事の金額や要件も年度ごとに変わります。リンク先の最新の公募要領やパンフレットが常に優先です。
VOC空気清浄機事業部 セールスエンジニア。有機溶剤・VOC対策の技術担当として、装置の選定から労働基準監督署への対応まで、現場ごとの相談に応じています。補助金の活用については、対象になりそうな制度の見当をつけるところまでお手伝いし、申請手続きは認定支援機関や商工会議所と連携します。
お問い合わせ:y.otaki@belica.co.jp