ブログ / 化学物質管理
解説 · 約8分化学物質のリスクアセスメントのやり方(有機溶剤の場合)
監修:大滝良彦(VOC空気清浄機事業部 セールスエンジニア) 公開

有機溶剤を扱う作業のリスクアセスメントは、(1)危険性・有害性の特定、(2)ばく露の見積り、(3)対策の検討、(4)記録、という手順で進めます。ばく露の見積りには、厚生労働省の支援ツールCREATE-SIMPLEなどが使えます。リスクが高いと出た作業では、発生源の密閉化や局所排気装置などの工学的対策を優先して検討します。
この記事は化学物質の自律的管理とリスクアセスメント義務化のうち、実際の進め方を掘り下げたものです。アセスメントの結果、有機溶剤のばく露を下げる対策が必要になったとき、当社(ベリクリーンエア)の装置が選択肢の一つになります。
4つのステップ
- 危険性・有害性の特定:作業で使う有機溶剤をリストアップし、SDSからGHS分類、ばく露濃度基準(または管理濃度・許容濃度)、physical hazard(引火性など)を確認します。
- ばく露の見積り:取扱量、含有率、換気の状況、作業時間、作業の頻度から、労働者が吸入するおおよその濃度を見積ります。簡易ツールまたは実測を使います。
- 対策の検討・決定:見積ったばく露をばく露濃度基準などと比べ、超える・近い場合は対策を決めます。優先順位は後述します。
- 記録と周知:対象物質、作業、見積り方法、結果、決めた対策、実施予定を記録します。次のアセスメントまで(少なくとも3年間)保存し、労働者に周知します。
根拠:厚生労働省「化学物質による労働災害防止のための新たな規制」
ばく露を見積る方法
- CREATE-SIMPLE:厚生労働省のExcelツール。物質、取扱量、揮発性、換気、作業時間などを入力すると、推定ばく露濃度、リスクレベル、必要な対策の目安が出ます。まずここから始めるのが一般的です。
- 作業環境測定・個人ばく露測定:簡易ツールでリスクが高いと出た場合や、対策後の効果を確認したい場合に実測します。有機則の対象物質は、6か月以内ごとの作業環境測定が別途義務です。
- 数理モデル:発生量、室容積、換気回数から理論的に濃度を推定する方法。工程設計の段階で使えます。
対策の優先順位
見積ったばく露がばく露濃度基準を超える、または近い場合、次の順で対策を検討します。上位ほど根本的で確実です。
- 代替:有害性の低い溶剤、低揮発性の材料、水性材料への変更。
- 発生源の密閉化・自動化:密閉容器、自動塗布、局所の囲い込み。
- 工学的対策:局所排気装置、プッシュプル型換気装置。設置できない現場では発散防止抑制装置。
- 作業管理:作業手順の見直し、作業時間・従事人数の削減、ローテーション。
- 保護具:有機ガス用防毒マスクなど。最後の手段で、上位の対策で下げきれない残りを補います。
工学的対策として局所排気装置が必要になったものの、設置するスペースがない、建物が賃貸でダクト工事ができない場合は、工事不要の発散防止抑制装置が選択肢になります。当社の装置は有機則対策向けで、特化則の対象物質には対応していません。局所排気装置が設置できない現場の有機溶剤対策と、対策前後の濃度を測るデモ機貸出をご覧ください。
よくある質問
リスクアセスメントはいつ行いますか?
対象物質を新規に採用するとき、作業手順を変更するとき、対象物質が新たに追加されたとき、そのほかリスクに変化が生じたときです。定期的な見直しも推奨されます。
CREATE-SIMPLEとは何ですか?
厚生労働省が提供する、リスクアセスメントの支援ツール(Excelベース)です。物質、取扱量、換気の状況、作業時間などを入力すると、推定されるばく露濃度とリスクレベル、必要な対策の目安が示されます。無料で使えます。
実測(作業環境測定・個人ばく露測定)は必要ですか?
CREATE-SIMPLEなどの簡易ツールでリスクが高いと出た場合や、対策の効果を確認したい場合は、実測を行います。有機則の対象物質は、そもそも6か月以内ごとの作業環境測定が別途義務です。
対策はどの順番で検討しますか?
(1)有害性の低い物質への代替、(2)発生源の密閉化・自動化、(3)局所排気装置など工学的対策、(4)作業手順・時間の管理、(5)保護具、の順です。保護具は最後の手段で、まず発生源対策を検討します。
VOC空気清浄機事業部 セールスエンジニア。有機溶剤・VOC対策の技術担当として、装置の選定から労働基準監督署への対応まで、現場ごとの相談に応じています。
お問い合わせ:y.otaki@belica.co.jp